株式会社トリドールホールディングス
目次
- 積極的な事業展開で生じた多様な社員構成を受けた経営理念の刷新、その実行に研修を活用した会社の風土構築への取り組みを開始。
- 「当たり前」の行動がおざなりになっていた社内で行動を起こしていくことで、上下間をはじめとしたコミュニケーションが改善。
- 「習慣化」の癖が身に付くことで社員の行動が変わり、業務における円滑なコミュニケーションを実現。
- 対象層に合わせたアプローチを行い、社内に広げていくべく取り組みも実施中。
- 今後より多様化する人材ポートフォリオにおける共通言語としての役割を「7つの習慣®」に期待。
- 具体的なキーワードを用いた社員間の会話が生まれるなど、業務への取り組みの姿勢に変化が生まれ始めている。
- 「7つの習慣®」プログラムの実践などで離職抑制に一定の効果はあるが即時的なものではなく、長期的に捉えるべき。
- 企業の持続的な成長における「ウイニングカルチャー」浸透のために、早期の研修導入は有効であり長い目で見れば投資となりうる。
国内外に1000超の店舗数を誇るうどん専門店「丸亀製麺」で世間に広く知られる株式会社トリドールホールディングス(以下、トリドールHD)。最近では2025年に世界で6000店舗という数字を掲げ、M&Aをおこなうなど総合外食企業化に向け積極的な事業展開を推進しています。その勢いで増大している店舗数や傘下企業に対し、当時の経営理念であった「Simply For Your Pleasure(すべては、お客様のよろこびのために。)」をどのようにすれば浸透させていくことができるのか。そこで着目され、導入に至ったのがフランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社(以下、当社)の研修プログラム「7つの習慣®」でした。
今回はトリドールHDで『麺匠』の肩書きにて味の平準化を務める傍ら、人事グループにおいて教育・研修分野を担当する藤本 智美氏に「7つの習慣®」の導入経緯から効果についてまで、さまざまなお話を伺いました。
会社の風土構築のために取り入れたのが「7つの習慣®」との出会い
現在、トリドールHDでは丸亀製麺ブランドをはじめとした国内展開だけにとどまらず、海外でも積極的に事業を推進しています。それら事業の中で主力となる外食事業は多くの人が業務に携わる業態です。雇用形態も異なれば年齢も国籍も異なる。そうした多様な社員が業務における行動のベクトルを合わせるためにも、経営理念がしっかりと共有されている必要が出てきました。そこで、今後の展開を見据えて経営理念を刷新、「Simply For Your Pleasure」とシンプルにすることで国境を越えて理解し、行動できるものとなりました。(2019年、従来の経営理念である“Simply For Your Pleasure”(=すべては、お客様のよろこびのために。)に加え、新たに“Finding New Value”が加わり「Finding New Value. Simply For Your Pleasure.」となっています)
しかしながら、いざ行動へと落とす際に各自のバックグラウンドに基づいて解釈することで、実際のアクションにバラつきが散見される状況。また、提供しているサービスには属人的な側面も存在する為、人格面におけるボトムアップを行わないと、より積極的なM&Aなどにより規模拡大を目指すにあたってその点がボトルネックとなる可能性も懸念されました。そこで会社の土台とも言える風土構築を目指し、研修を取り入れる流れとなり、社内から推薦されたのが当社の「7つの習慣®」でした。
「実は社内から推薦されるまで、私は『7つの習慣®』を存じ上げませんでした。研修前の事前調査の段階では書籍の存在も認識していましたが、研修はあえて読まずに受けることにしました。事前のインプットなしで3日間の公開コースを受けて自身がどう変わるかを体感したいと思ったからです。」と藤本氏は当時を振り返ります。
藤本氏にとって「講義内容は理解の範疇のことばかり」だったと言います。しかし、講義を通してその「当たり前」が社内でおざなりになっていることを強く実感しました。そこで講座終了後、その「当たり前」に愚直に取り組むことを意識したところ、プライベートも含めて時間の経過とともに変化が訪れるようになります。具体的には、「自ら挨拶を積極的にすること」、「相手に感謝の念を述べること」といった行動を主体的におこなったことで、コミュニケーションのあり方が大きく変化していったのです。それまでバラバラになりがちだった社内の上下間のコミュニケーションが日を追うごとに確実に改善されていく。そうすることで、これまで停滞していた情報がスムーズに行き渡るようになりました。
「自身が実体験したエピソードを交えることで、社内でファシリテートする際に多くの参加者から共感が得られます。そして参加者も職場に戻った際に主体的に実践してくれるようになります。業務だけでなく、プライベートでも活用できるメソッドであり、自身の人格形成にも役に立つという点は社員の主体的なアクションを引き出すためのひとつのポイントではないでしょうか。」という藤本氏の言葉は示唆に富んだものでした。
「7つの習慣®」の効果として感じること
現在、トリドールHDでは新入社員向けの「ディスカバリー」も導入しています。「ディスカバリー」では、新入社員を学生から組織人へ昇華させるために必要なマインドを学ばせています。それに加え、トリドールHD流にプログラムをアレンジして継続していけるようによう試みています。たとえば、新入社員には毎週レポートを提出させていますが、100%提出というのは通常だとハードルが高いものとなります。そして週を追うごとに提出率は低下していくばかり。しかし、「7つの習慣®」を理解していくことで、周囲も含めて一緒に進めていくようになり、レポートの提出率は1か月を超えても100%を維持するように変わっていきました。しっかりとやること、実行することの重要性が個々人にインストールされた結果です。
習慣化の癖が身についた社員は他の行動でも習慣化していくようになり、たとえば体を鍛えたり、継続的に読書をしたり、そうした点でも変化していきます。また、対人関係においても確実なメールへの返信や、スタッフが提出する日報へのフィードバックなどが当たり前の行動となり、店舗や事業部内でのコミュニケーションも円滑に回るようになります。「数字として抽出するのは難しい部分ではありますが、店舗運営にも貢献しているように感じます。」と藤本氏は研修導入の効果について話しました。
トリドールHDが当社の研修を導入し始めたのが2015年、そこから4年の間に「7つの習慣®」から「ディスカバリー」と導入範囲は確実に広がってきています。
2025年の構想に向け、「影響の輪」は着実に社内に広がっている
「現在、当社では2025年に世界の売上5000億、海外4000店舗、国内2000店舗という構想を掲げています。それを実現していくためには、人材も今以上に多様化していくことでしょう。そこでポイントとなるのが共通言語を持つことです。「7つの習慣®」が社内の共通言語として機能することで、その役割を担うことができるのではと期待しています。」(藤本氏)
先述の通り、トリドールHDの主力事業である外食産業において、研修は売上向上に直接つながるものではありません。しかし、研修を受けた社員同士に「共通言語」ができることで、円滑なコミュニケーションが期待できる。その効果は数字に直接反映されるものではないものの、研修を受けた社員を経由して確実に社内に伝播していっているようです。
「ワークセッションに参加して学んだキーワードとか一部を、地域マネジャーとかマネジャーとかが自ら会議体でやっぱり発信するんです。たとえば、コミュニケーションのところであれば『第5の習慣』だとか『影響の輪』とか、具体的なキーワードを用いて発信するようになってきています。ほかにも、『主体性』というキーワードひとつとっても、昔はその意味を十分に理解できなかったところが、今では『影響の輪』などの概念で理解できるようになり、仕事への取り組み方に影響が出ているように感じます。」(藤本氏)
研修の導入から4年、最近はコミュニケーションだけにとどまらず、仕事への影響が見えはじめていると藤本氏は捉えています。それまでの会議体ではゴールを明確化せずに進めることもあったと言いますが、『知的創造』、『物的創造』の考えの浸透により最近ではゴールを設定した上で会議を実施することが習慣となってきているようです。
研修は根を張るようにじわっと社内に浸透していく
社員の定着をいかにして実現するか。これは現在の日本の多くの企業でも言えることですが、外食産業ではもともと離職率の高さや採用の困難さなどもあり、より切実な課題として認識されています。この部分に対して研修はどのような効果があるか、藤本氏の考えを伺いました。
「正直なところ、現時点で大きな影響をもたらしているとは言えません。しかし、当社ではマネージメントと現場の価値観を等しくすべく取り組みを進めています。それがゆくゆくは効果として表れてくるのではとみています。離職に関しては『7つの習慣』のプログラムの実施やそのフォローアップなどをしていくことで一定の抑制効果は出ているのではないでしょうか。実際、数値では計測しづらい部分ではありますが、モチベーションの向上や風通しの改善などを現場からは確実に感じています。即効性を期待せずじっくりと取り組んでいくべきだと思いますね。」(藤本氏)
一気に効果が広がるわけではく、「根を張るように、じわっと浸透してくるイメージ」という表現で研修の効果を藤本氏は表します。研修を受けた社員が基盤となり、未来の会社の新しい文化を作っていく。「7つの習慣®」でいう「ウイニングカルチャー」を持つ会社にしていくためには、そのような過程を経て会社の品格を高めていくことが求められることになります。研修にはそうした成長段階においての基盤作りへの貢献が期待されています。
「当社ももっと早くからやっておけばよかったと感じることがあります。社員が多いと考えを広めるための時間やコストがかかってしまいます。しかし社員が少ない段階でしっかりと浸透できていれば、あとはその社員を経由して社内に文化が浸透します。だからこそ、成長過程にある会社で課題を感じているようであれば早めに取り入れることをお薦めしたいです。」と藤本氏は自社の状況を踏まえ提言してくれました。
しかし、研修のコストは直接的な数字に結びつかないこともあり、投資対効果を数字で判断する企業では導入に及び腰になるケースが少なくありません。この観点に関して藤本氏は次のように述べます。
「私は投資と考えるべきだと思います。たしかに、会社としては成果が出れば投資でしょうし、成果がなかったら、コストとみなされるのが実情です。だからこそ、技術の研鑽や読書や知識のインプットなど、即効性のあるものはもちろんやるべきだと思います。しかしながら、マインド、人格の部分というのは、じっくりと浸透していくので、即自的な成果、効果は期待できません。私は常々、社内では長期的な視点で見てほしいと言っています。」
当社の研修を導入してから4年が経過し、大樹が根を更に広く張るように、着実に効果の浸透に取り組んでいるトリドールHD。2025年の目標達成に向け、さらなる飛躍が期待されます。
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