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インタビュー:竹村 富士徳 氏

リーダーの「実行力」を強化し、戦略の実現を可能にするソリューション「4Dx 実行のための4つの規律」講師インタビュー 2014.5.8

フランクリン・コヴィー・ジャパンのプロセス・コンサルティング「4Dx 実行のための4つの規律」は、組織やチームが遂行すべき重要な戦略を明確に捉え、フォーカスし、そして実行するためのプロセスをサポートするプログラムです。今回は弊社の副社長であり、講師兼コンサルタントを務める竹村富士徳(たけむら ふじのり)に本プログラムについてインタビューを致しました。

―「フランクリン・コヴィーが掲げている「実行」とはどういったものなのでしょうか?」

竹村「フランクリン・コヴィーが提唱する「実行」とは、英語でExecutionであり、単なる行動や動き回ることではありません。成果を生むためには、「戦略×実行」が必要ですが、Executionは、どのようなことが起きても、戦略を確実に遂行し結果を出すという、強い意味を持っています。
以前、セント・ガレン大学教授のハイケ・ブルッフ氏とロンドン・ビジネススクール教授のスマントラ・ゴシャール氏は、ハーバード・ビジネスレビュー「マネージャーが陥る多忙の罠」の中で、特定のヨーロッパの10大企業のマネージャー、管理者の方々を10年間追った結果、次の一文でまとめています。
「9割のマネージャーが、あたふたと動きまわることを建設的行動と混同することで、典型的に組織の中心目標から逸脱または乖離している」
つまり、単なる行動では、組織の中心となる目標を達成することなどできないということです。私たちは本当に戦略的な課題に向かって進んでいるかどうか、そこを解決していくという意味で実行をとらえています。」

―「なぜ、今「実行」というテーマが注目されているのでしょうか?」

竹村「 すべてが右肩上がりの時代では、なだらかな水面の上でボートをこぐように、言われたことを指示通りに行えば成果が出ていました。しかし、現在は激流の時代です。
この違いを「実行」というパラダイムで見たときに、過去の時代における企業の方向性や戦略は、トップがある程度決めて命令する一方的なもので、メンバーは指示されたことを行いさえすれば結果もついてきたし、主体的な実行という意味ではあまり問題にもなりませんでした。
しかし、現在のようにますます変化が激しくなっていく状況においては、戦略や行動も刻々と変化させなければなりません。環境や状況の変化に対応して、一人ひとりが自らの中に方向性を見出して、自ら主体的に動いていかなければなりません。何か変化が起こったり問題が起きたりするたびに、経営チームや本社に報告して、そこで戦略を練り直し、トップからまた指示を出す、などとやっていたら、スピードで完全に負けてしまいます。一人ひとりの主体性、向かうべき方向がアライメントとれているか、そして確実に遂行できるかどうかが求められています。」

―「激流の時代においても重要な戦略を実行するためのプログラム4DXはどのようなソリューションなのでしょうか?」

竹村 「「4DX」というのは、組織において戦略を実行するためのOSだと思っています。どのような戦略というアプリケーションが乗っていても、確実に機能するOSです。
なぜ、OSと言いきれるのかというと、フランクリン・コヴィーでは10年以上の歳月をかけて「実行」についての調査と実践を繰り返してきました。そして調査によって見出された仮説を1,500以上の企業に導入し実施を重ねてきた結果、開発されたものです。実行における「原則」と言ってもいいかもしれません。
この「実行」に関する研究と導入を中心に行ってきた、書籍『戦略を実行できる組織、できない組織』(キングベアー出版)の著者、クリス・マチェズニーは、『4DXがこれほどパワフルに機能する大きな理由の一つは、時代を超えた原則に基づいているからだ。どんな環境でもどんな組織でもうまく機能することは証明されている。4DXの原則は我々が発明したのではない。ただこれらの原則を発見し、体系化しただけである』と述べています。

「7つの習慣®」も「原則」に基づいたものですが、「7つの習慣®」が個人の効果性を高めるためのものであるのに対し、4DXは組織として効果性を高めるためのものです。つまり重要な戦略を実行することによって得られる成果を得続けるということです。
「7つの習慣®」によって自立した個人が、チームとして主体的であって、終わりを思い描いくことから始めて、最優先事項を優先してみんながWin-Winで相手のことを傾聴しながらクリエイティブにやっていくという、それをチームや組織の中で、できるように体系立てられているのが、4DXなのです。
もう一つの4DXのこだわりは、規律の4番目「アカウンタビリティのリズムを生み出す」です。このリズムという言葉と習慣という言葉は同じ意味です。結局、両方とも目指しているのは、今この激流の中にあって行動変容をしていくということ。これまでとは違ったことを、原則に基づいてプロセス化しなければならないということです。
この点は「7つの習慣®」も4DXも全く同じで、1回やればいいということではなく、効果性を発揮して望む結果になるためには継続的に行わなければなりません。「7つの習慣®」では習慣と言いますが、4DXではリズムと言っているのです。」

―「4DXの4つの規律とは具体的にどのような規律なのでしょうか?」

竹村 「 まず第1の規律『最重要目標にフォーカスする』はいくつかのルールがあって、1つ目は必ず下位組織の目標は上位組織の目標を必ずカバーするものだということ。それから2つ目として私たちが推奨しているものは、目標の数は最大3個。2個から3個くらいに絞るということ。そして3つ目はこれを確実に計るものとして「From X to Y by When」(いつまでにXからYにする)を定義することです。
この3つのルールに基づいて目標を設定していくことになります。ただし、日本語では、『最重要目標にフォーカスする』と簡単な表現ではありますが、英語では、『Focus on the wildly important』という言い方をしていて、「wildly」という言葉がキーワードになっています。
この「wildly」という言葉には、他を果たすことができなかったとしても、これを果たさなければ戦略的に会社として、組織として、チームとして非常に問題になる、という意味が込められています。

『先行指標に基づいて行動する』英語では『Act on the lead measure』と言います。キーワードは「lead measure(先行指標)」です。
この先行指標がカギになるのですが、最重要目標と呼ぶ遅行指標(結果として出る指標)に対して、今日、今週、影響を与えることができるものは何か、予測的かつ影響的な先行指標を決め、先行指標に基づいた行動をしていくというのが第2の規律です。
第1の規律の原則が「フォーカス」であるのに対し、第2の規律での原則は、「テコの原理」です。何を先行指標にすれば最重要目標に対して一番インパクトを与えることができるのか、どうすればテコの原理を機能させることができるのかを第2の規律で決めることになります。

3番目の規律は『行動を促すスコアボードをつける』。英語だと『Keep a compelling scoreboard』。キーワードは「Compelling」です。
私たちが提案するスコアボードには、いくつかルールがありますが、ひとつご紹介すると、今勝っているかどうかが瞬時にしてわかるということです。その為に必要な条件がいくつかあるのですが、大体よくあるスコアボードには遅行指標しか入っていません。これに対して先行指標・遅行指標が両方入っているのが4DXで紹介するスコアボードです。次に、数字が並んでいるだけではなく、ビジュアル的に今勝っているかどうか瞬時に分かるということ。そしてもうひとつが、ここでいうスコアボードはリーダーのものではなく、メンバーのものということです。第3の規律における原則は「エンゲージメント」です。

4番目の規律は『アカウンタビリティのリズムを生み出す』。英語では『Create a cadence of accountability』、キーワードは「cadence(リズム)」です。
第1、第2、第3の規律というのは、まだ準備段階です。まだ結果は出ていません。ここからが、実際にチーム内で「WIGセッション」と呼ぶミーティングを行いながら、スコアボードを動かしていきます。
つまり、第4の規律から、プロセスを生み出すランニングフェーズということになります。
このWIGセッションでは、フォーカスすべき最重要目標、そこに基づく先行指標、そしてそれらを可視化したスコアボードに対して、自分の行動の報告、次週の活動について話し合われることになります。ここでは、最重要目標と先行指標以外のことについて話し合うことはできません。
また、メンバーの主体性を促していくために、リーダーが何かを指示するのではなくて、自分たちがそのスコアを動かすために何をやったのか、また今週何をするのか、自分で考え、自分でそれを他のメンバーに約束をします。これがWIGセッションの肝と言えるところです。
そしてとにかくこのWIGセッションを、毎週決まった時間で決まった場所で決まったメンバーで繰り返してリズムにしていく。この継続的なアクションが先行指標を伸ばして、この先行指標が最終的な遅行指標を動かす。今日やっている事柄が最重要目標に直結をしていて、皆がそれを理解して情熱をもって攻めていく。それが毎週のWIGセッションの中で実現できれば理想的なWIGセッションとなります。ここでの原則は、「アカウンタビリティ」です。」

―「戦略の実行をサポートする4DXですが、重要な戦略を実行し成果を上げるために、今組織に何が必要ですか?」

竹村 「やはり、組織のリーダーが「インサイド・アウト」のパラダイムで自ら変わらなくてはならないでしょう。リーダー自身が変わらない限り、組織は本質的には変わっていかないと思います。
違う結果を求めるには、これまでとは違った行動が必要です。しかし、リーダーが何も変わらなければ、メンバーの人達は結局同じようなことをやり続けていこうとします。そこで主体性がないとか、全然頭を使わないとか、リーダーが嘆いても何も変わりません。大抵のメンバーが同じことをやり続けているということは、それは個人の問題ではなくてシステムの問題であって、そのシステムを変容させなければならないリーダーの問題であることをリーダーが理解しなければなりません。

とはいえ、リーダーは非常に忙しい毎日を送っていると思います。リーダー自身が竜巻の中で日々闘っており、余裕がないのも事実です。ますます激流が激しくなり、実行することがさらに難しくなっています。
しかし、リーダーは戦略や方向性を定めて、あとは現場に任せるという従来のスタイルではなく、本当に重要な戦略を実行・実現していくというプロセスに、どういうシステムが機能していて、メンバーたちがどういう思いでそこに関与していかなければならないのかをきちんとプロセス化し、システム化することは、むしろリーダーの本質的な仕事であると思います。
こうした考え、原則に基づいて体系立てられているプログラムとして、4DXというプロセスはとても有効だと思います。

「7つの習慣®」の著者であるコヴィー博士の息子のショーン・コヴィーが、独立をして自分で会社を作るということになり、フランクリン・コヴィーに研修をお願いするとしたら、「一番最初にお願いするのは『7つの習慣®』ではなく、当然4DXです。いわゆる組織として機能させていくために、まず実行のオペレーティングシステムが機能しないと組織としては成り立ちません」と言っていました。
それほど、フランクリン・コヴィーは、4DXに自信を持っています。」

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