離職率に悩む企業がある一方で、社員たちから「ずっとこの会社で働きたい」と熱望され愛着を持たれる企業もある。
たとえば、成長企業である株式会社スタートトゥデイや株式会社サイバーエージェントの離職率は低い。
スタートトゥデイでは、競争ではなく和を重んじた社風を反映した給与体系や、一日6時間労働の取り組みなどをおこなっている。サイバーエージェントでは、「1on1」という社員面談の機会を月に1度は設けている。
この2つの企業をはじめ、離職率の低い企業に共通しているのは「社員との深い関係性(エンゲージメント)を作り出すことができている」ということだ。
企業や上司からの社員ひとりひとりへの興味・関心が社員の愛着心を育て、社員たちの企業・上司への興味・関心を生み出す、エンゲージメントの良いサイクルができあがっていることがわかる。
著書『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』の中で、スティーブン・R・コヴィー博士はこのように述べている。
お互いの希望を出して取引し、ほどほどのところで妥協するのではない。シナジーは二人の関係をも変える力を持っているのである。シナジーのプロセスは、二人が望むものを与え、そして二人の絆を強めるのである。
(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版)
シナジーとは、すべての習慣を実践しているかどうかの真価を問うものであり、その目的なのである。
社員たちを「会社に仕える者」とみなして、無意識のうちにWin-Loseの関係を作ってしまうのではシナジーやエンゲージメントを生み出すことはできない。
意識的に、常に社員たちに何を提供すれば本当にWin-Winの関係を築くことができるか、試行錯誤していなければならない。
そのときに、「きっとこうすれば社員たちも嬉しいだろう」と勝手な推測をするのはNGだ。
離職率の低い企業は、社員の本当に必要としているものは何なのか、コミュニケーションを取って聞き出している。
コミュニケーションを取ることによって、社員たちも企業や上司に信頼感を抱くことができ、それがシナジーやエンゲージメントに繋がっていくということを忘れてはいけない。
最初は、コミュニケーションを取ろうとしても上手くいかないこともあるかもしれない。
もし信頼が失われていた場合、なかなか社員が本当の気持ちを言ってはくれないこともある。
そんなときは、すぐに諦めてしまわず、コヴィー博士のこの励ましを思い出してほしい。
敵対心を向けられるような厳しい状況にあっても、自分の内面であればシナジーを創り出すことはできる。侮辱を真に受ける必要はないし、他者が発揮するネガティブなエネルギーは身をかわしてよければいい。他者の良い面を探し出し、それが自分とはまるで異なっていればなおさら、そこから学んで視野を広げていくことができる。
(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版)
シナジーを生み出しエンゲージメントを高めて、関わる誰もが幸福になる企業・働き方を創り出していきたい。