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周りに良い影響を与える人間になるために必要な「自分を信頼する力」

多くの意見が交錯する仕事の場。
ときに、他者の動向や意見の食い違い、あるいは不愉快な態度などに、心を乱されてしまうことに悩む人も少なくありません。

そんなとき、真面目な人ほど自分の不寛容さに落ち込んでしまいます。
そして、自分を守るために、他者や環境のせいにして問題から逃げてしまった経験のある人もいるのではないでしょうか。

その場合、スティーブン・R・コヴィー博士の「人間は誰もが選択する自由を持っている」という提言が助けなるかもしれません。

影響力とは

周りに良い影響を与える人間になる為には自分を信頼する力を備え持つ必要があります。なぜなら自分を信頼出来てはじめて周りにいい影響を与えることのできる「影響力のある人間」になれるからです。

それでは影響力とは何なのでしょうか。影響力とは人の心を動かし行動や考え方を変えることです。そして影響力を持つ人物とは、業務を遂行、達成していくうえで、新しい物事に対して前向きや勇気などの積極性を持っっています。その上で人柄もよく、周囲を巻き込んで業務を推進していける力を持っているのです。このような力を持つ人物は仕事もできて信頼性を益々向上させるとともに、自分を信頼できる能力が高い傾向にあります。

つまり自分を信頼できる人物は周囲にいい影響を与える人物であることが多く、逆に自分を信じられない人物は周囲にあまりいい影響を与えられず、全体の生産性や士気に変化を与えられないと捉えていいでしょう。

自分を信頼している人、信頼していない人の特徴

自分を信頼している人と信頼していない人とでは、其々が持つポジティブとネガティブの考え方の違いから、目標達成に向けての行動にも違いが生まれます。そして周囲からの信頼度も違ってくるのです。その結果、影響力を持って周囲全体の生産性を上げていける人物になれるのかどうかも左右されることになります。

ですから自分を信頼できる人、信頼できない人の特徴を知ることは今の自分が影響力を持っているのかを客観的に見る為にも非常に重要なことになるのです。

自分を信頼できる人は多くの経験から培われた価値観で人の判断に屈しない自分の強固な信念を持っています。その信念に基づく行動は目標達成の為に進む道に立ちふさがる難関もポジティブに捉えることができます。その結果、自分の指針をブレさせることなく、困難から学び更に効果的な工夫を発見していくことが可能なのです。

しかし自分を信頼していない人の場合、困難が立ちふさがったとき、「またダメか」とネガティブな思考が働いてしまいます。そしてその思考が目標達成のための行動をうまくいかせない足枷を作ってしまうのです。また自信の無さが不平不満となり、自分ばかりか周囲のやる気まで削いでしまう悪影響を与える人物となりうるとも考えられます。

このように自分を信頼している人は物事をポジティブに捉え目標達成のために邁進していき、自分を信頼していない人は自信のなさから物事をネガティブに捉えてすすめててしまう傾向にあるのです。
更に自分を信頼している人の行動は、遂行していくことに対して信念がありますから、全ての行動に一貫性があります。これは周囲の人間を惹きつける影響力をも左右することです。

反対に自分を信頼していない人の行動は自信のなさが故に、方針をちょくちょく変更したり、行動に一貫性が見られず周囲からの信頼度も低くなり影響力を持つことは不可能となるのです。
このように、自分を信頼している人と自分を信頼していない人では、その思考が目標達成のための行動に表れて可視化されることで影響力にも差が出てくるのです。

ここからは自分を信頼できる人と信頼できない人、つまり影響力が持てる人と持てない人の特徴をおさらいします。

自分を信頼している人の特徴

大きな難関を目前にした時、人はどうしてもネガティブな思考を持ってしまうものです。
その時自分を信頼している人はどのような思考や行動をとるのでしょうか。自分を信頼して周囲にいい影響を及ぼす人には次のような特徴が挙げられます。

ポジティブに考えられる

誰でも目標達成のために行動すれば少なからず失敗は経験するものです。しかしその失敗にいつまでも思考を引きずられていては時間だけが過ぎて何の変化も得ることはできません。
自分を信頼している人はその失敗から学び、失敗を前向きにとらえることができます。
失敗は誰にでもあることですが、その失敗に躓き思考と行動が停止してしまう人も少なくないことでしょう。

失敗を受け入れて、学べるものは学び反省することは反省しつつ、信念を持った行動がもたらした結果をポジティブに受け止められることは自分を信頼できる人が持つ大きな特徴のひとつです。

行動に一貫性がある

周囲に流されず、考えや行動に信念があることも自分を信頼している人の特徴です。
これまでの経験や習得したものから培った価値観を基にした強い信念をもって行動することは行動に一貫性を生みます。

また自分を信頼している人には、信念に基づいた行動をとることから失敗の責任を転嫁するようなことがありません。この姿もまたいい影響力を持つひとつの要素となっているのです。自分の決めたことを迷わず貫く姿勢がいい影響を周囲に与えて、その生産性すらを高めていくのです。

自分を信頼していない人の特徴

それでは反対の性質であり、影響量を持つことのできない自分を信頼していない人の特徴とはどのようなものなのでしょうか。その大きな2つの特徴についてご説明します。

ネガティブな言動が多い

自分を信頼できない人は信念が弱く、行動がぶれることから周囲からの信用を勝ち取ることができません。また信念が定かでない分行動がぐらつき、結果がいい方向に行かないとその責任を転嫁する傾向にもあるようです。

その際に自信の無い自分へのダメージを最小限にするためにネガティブな発言や行動を取りがちなのは自分を信頼していない人の特徴のひとつといえます。
それらのネガティブな言動は周囲の士気を低下させて、目標へと向かっている集団に悪影響すら与えてしまいます。

人間関係を選ぶことが苦手

また自分を信頼していない人は周囲の目を気にして正しい人間関係を選ぶこともできなくなるように見受けられます。もし自分が進めていることが失敗したら何と思われるかなどの周りの目ばかりを気にする傾向が自分を信頼していない人にはあるのです。

自分を信頼して信念を持ち、一貫性のある行動をとっているのであれば、周囲からの批判は聞き流し妨害工作があるのならばその人間関係は必要ないものとして扱うこともできるでしょう。
しかし自分に自信がなく周囲に流されている人にとっては、周りにどうみられるのかということが重要になってしまいます。その結果、本当に必要な人間関係を選択することができなくなるのです。これでは影響力を持つことはおろか、周囲からの信頼度を上げることもできなくなってしまいます。

人は自分の反応を選ぶことができる

コヴィー博士は、他者と価値観が衝突したときや何かトラブルが起こったときなどに、人は自分の反応を選ぶことができると言います。
どうしても他者に心を乱され、思うようなパフォーマンスをあげられないというとき、その不快な状況に対して「文句を言う」、「相手を非難する」という選択もできますが「状況を変えるために距離を置く」という1つの選択肢があります。

 

あなたも流れを変える人になれる。たとえば職場にどうしようもなくひどい上司がいるとしよう。毎日嫌な思いをするだけならまだしも、不公平がまかり通っている職場だ。しかし、選択する自由を賢明に使えば、その状況を変え、上司の行動に良い影響を与えられるだろう。少なくとも上司や同僚の欠点に距離を置き、いちいち不愉快にならずに済むはずだ。誰かの欠点に気分を害していると、自分で自分の力を奪い、かえって相手の欠点を増長させ、あなたの人生はますます乱されてしまうことになる。これもまた、過去が未来を決めるのを許しているのと同じことなのである。

(スティーブン・R・コヴィー『完訳 第8の習慣 「効果性」から「偉大さ」へ』キングベアー出版 )

選択には責任が伴う

職場の空気を壊す人に付き合わないというのは、大切な選択です。
ただし、忘れないでほしいのは、あなた自身の選択には責任が伴うということです。
「上司や同僚の“せいで”距離を置く」のではなく、あなた自身の意思で決め、自分の“ために”行動を選択したと肝に銘じていただきたいと思います。

あなたが自分の意思を持つことによって、周りにとっても良い影響を与える可能性があります。
そのとき、他者や環境のせいにしないことが大切です。

それさえ心がけていれば、おのずと周りはあなたについてきてくれることでしょう。

自分を信頼する方法とは?

自分を信頼出来なければ自信を持つこともできず、影響力を持つことは難しくなるでしょう。そこで簡単に自分を信頼できる方法についてお伝えします。自分を信頼することは自分を裏切らないことに直結します。自分に課したどれほど小さな目標でも自分を裏切らずに達成していくことで少しずつ自信が形成されて自分を信頼することができるようになるのです。

その具体的な方法としては「好きなことの継続」「物事に打ち込み技術を磨く」「見た目をいい風に改善してみる」このような方法が挙げられます。これだけは諦めない、必ず上手になってやる、魅力的な自分になる、これらはどれも自分との約束であり、自分に課した目標です。これらを達成していくことで自分を信じられるようにない、いつしか自分を信頼できるようになると考えられるのです。

自分を信頼するヒント

しかし、自分で責任をもって選択する・意思を持つといっても、自分自身を信頼できないがためにつまづいている人もいます。

コヴィー博士の長男であるスティーブン・M・R・コヴィーは、自分を信頼することについてヒントを与えてくれています。

 

自分を信頼できるようになるための要素として、個人としての一貫性は非常に重要なものである。我々の心に、他者の心にも信頼を呼び起こすような自信と信頼を植えつけてくれるからだ。

(スティーブン・M・R・コヴィー『信頼マネジメント ビジネスを加速させる最強エンジン』キングベアー出版 )

自分を信頼することはエゴや傲慢さとは違う

M・R・コヴィーは、本書の中で1980年のNBAバスケットボール世界選手権でのエピソードを紹介しつつ、こう続けます。

 

自分を信頼するという行動は、エゴや傲慢さとは違うし、見せかけだけの虚勢でもない。内に秘めた静かなる自信なのだ。そして、我々が享受することになる最も重要な繁栄、すなわち我々一人ひとりの信頼口座(自分自身の信用の度合いを銀行口座にたとえた比喩表現)の大きな残高を、自分がどの程度意識しているかがそこに表れる。

(スティーブン・M・R・コヴィー『信頼マネジメント ビジネスを加速させる最強エンジン』キングベアー出版 )

自分を信じる信頼口座の残高を多くするには、自分の普段の行動を変えていくほかありません。

まとめ

「忘れないでほしい。行動というものは、変えようと思えば変えられるものなのだ。」とも、M・R・コヴィーは記しています(p.169)。

仕事の場で、どんなときでも自分で責任をもって選択をし、周りに良い影響を与える人間になるために、まずは自分が信頼に足る人物になるための信頼できる行動を積み重ねていく必要があるのです。

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