営業職に限らず、人との交渉を求められるケースは多々ある。
そういった場面には、仕事、プライベート問わず遭遇してしまう。
そんなとき、あなたは「相手に勝った」「相手に負けた」という気持ちになることがあるだろうか。
もしあるなら、スティーブン・R・コヴィー博士が著書「7つの習慣」の中で第4の習慣としてあげている「Win-Winを考える」を知ってほしい。
Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。
勝ち負けではなく、全員が得たい結果を得るための方法だ。
そうすることで相手と話をする中で、もっと良い方法、もっとレベルの高い方法を見つけることができるだろう。
Win-Winの原則は、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎であり、五つの側面から成っている。
その五つの側面の中から、Win-Winに不可欠な人格を構成する「豊かさマインド」を紹介しよう。
この世にはすべての人にいきわたるだけのものがたっぷりとあるという考え方だ。
ほとんどの人は、欠乏マインドに深く脚本づけられている。パイはたった一個しかなく、誰かがひと切れ食べてしまったら、自分の取り分が減ってしまうと考える。物事はすべて限りがあると思い、人生をゼロサム・ゲームととらえる考え方である。
欠乏マインドのままでは、手柄を独り占めし、名誉や評判、権力もしくは、利益をサポートしてくれた人とさえ分かち合おうとしない。だから自分以外の人間の成功を喜べない。同僚や親しい友人、家族の成功さえも素直に祝福できない。誰かが褒められたり、思いがけない利益を得たり、大きな成果を出したりすると、まるで自分が損をしたような気分になるのだ。
(略)
豊かさマインドを持つには、まずは第1、第2、第3の習慣を身につけ、個人としての喜び、満足感、充足感を得ていなければならない。それがあって初めて、他者の個性、望み、主体性を認めることができる。前向きに人と接することが自分の成長にとって無限の可能性をもたらすとわかっているから、それまで考えてもいなかった新しい第3の案を生み出せるのだ。
今までWin-Lose(自分だけが得たい結果を得て、相手は得られていない状態)を選択するような人がWin-Winを実現する人格を備えるのは、簡単ではないかもしれない。
しかし、自分の内面を奥深く見つめることで、誰でも実現できる変化だ。
身近に豊かさマインドを持つ人がいたら、積極的に接しメンターとするのは効果があるだろう。
また、自分とは違う他者の考え方を受け入れる心の基盤をつくるために、演劇を見たり文学に接したりすることもおすすめしたい。
今回紹介したのはテクニックではない。
人間関係における総合的な哲学であると考えて取り組んでみてほしい。