営業部のマネジメントをしていると、高い成果を上げる部下と、逆に成果が出ない部下の対応に悩まされる。
毎月最も成績を上げた部下を表彰することにしたところ、いつも高い成果を上げる数人にさらに競争心が生まれ、上位数人の売上が伸びた。
一方、成果の出ない部下の意識は低いままでモチベーションが上がってくる兆しすら見えない。
それどころか、足の引っ張り合いを始める社員まで出てきた。
雰囲気が悪く、チーム全体の売上は伸びない状態が続いている。
チームをまとめるリーダーとして、どうすべきなのだろうか?
今のチームの現状は、1人の勝者とその他に分かれている。
そうではなく、「Win-Win」の関係を作ることを考えてみてはどうかと提案しているのが、スティーブン・R・コヴィー博士だ。
コヴィー博士は書籍『7つの習慣』の中でWin-Winについて、次のように述べている。
Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。何かを決めるときも、問題を解決するときも、お互いの利益になり、お互いに満足できる結果を目指すことである。Win-Winの姿勢で到達したソリューション、当事者全員が納得し満足し、合意した行動計画には必ず実行する決心をするものである。Win-Winのパラダイムは、人生を競争の場ではなく協力の場ととらえる。
今は、チーム内で勝者になることを目標としている部下がいる。
しかし、チームとしての目標は、チームとしての売上目標であるはず。
まずはここに相違が生まれている。
これを解消しないと、チームが協力の場とはならないだろう。
コヴィー博士はさらに、こう言う。
Win-Winは個性主義の表面的なテクニックではない。人と人との関係を総合的にとらえるパラダイムである。このパラダイムは、誠実で成熟し、豊かさマインドを持った人格から生まれ、信頼に満ちた人間関係の中で育っていく。それは期待することを明確にし、効果的に管理する実行協定になり、Win-Winを支えるシステムによってさらに力強いパラダイムになっていく。
今まで以上に部下とのコミュニケーションをとり信頼関係を深めることが大事になってくる。
メンバーの話をよく聴き、深く理解しようと努め、自分の意見も勇気をもって伝える。
信頼関係ができたら、上司であるあなたの部下への接し方、日々のマネジメントスタイルも自然に変わるはずだ。
一から十まで細かくやり方を管理する必要はなくなるだろう。
そして今までの評価制度を変える必要が出てくるだろう。
他者との競争による評価ではなく、自分自身の目標を達成できたかどうかを基準にする。
そのような基準で評価されるということを事前に伝えておく。
チームのパフォーマンスを向上させるためには、チーム内でWin-Winになることを目指したリーダーシップが求められる。