組織において信頼関係を築くことは、組織の成功につながる重要な要素です。この記事では、組織内の信頼関係を構築したいと考えている担当者に向けて、信頼関係を築くメリットや信頼関係が築けていないことで起こるリスク、信頼関係を築くための施策などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
目次
組織における信頼関係とは
信頼関係とは、一般的にはお互いを信じて頼れる関係のことを指します。組織においても基本的には同様の意味合いですが、業務で困った際に相談し合える関係や、トラブルが起こった際に助けを求められる関係性を信頼関係と呼ぶケースが多いでしょう。
たとえば、情報を安心して共有できる、仕事を安心して任せられる、悩みがあったら相談できる、指示を出さなくても自主的に動いてくれるといった関係性を築けていることです。
組織における信頼関係が重要である理由
組織において信頼関係を構築することが重要だといわれる理由の1つに、チーム力強化が挙げられます。信頼関係が築けていると「このチームのために働きたい」「この人と仕事がしたい」という人が増えるため、チームとしての力が強固になります。結果として組織全体の成功につながるでしょう。
また、リモートワークやリモート勤務とオフィス勤務を併用するハイブリットワークにおいても信頼関係を構築する重要性が高まっています。リモートワークでも各従業員が最大限に能力を発揮するためには、チーム間の信頼関係が必要です。
組織の信頼関係を築くことで得られる5つのメリット
従業員同士の信頼関係を築くことは従業員同士だけではなく、企業として得られるメリットも多々あります。ここでは、組織の信頼関係を築くことで得られる5つのメリットを詳しく解説します。
情報共有が活発になる
信頼関係が築けていれば心理的安全が保たれるため、会話や情報共有のハードルが下がります。結果的に情報共有やアイデアの提案や意見交換が活発になります。信頼関係が構築できていない場合、本当にこの情報を伝えてもよいのか悩んでしまうケースもあるでしょう。会話や情報共有の種類や内容を精査しなければいけないため心理的な負担がかかるばかりでなく、そのために情報連携が遅れたり、未然に防げる事態を回避できなくなることもあります。
生産性の向上につながる
信頼関係があることで生産性向上につながる可能性があります。信頼関係があれば、最小限のやり取りで業務を回すことができるため、細かく指示する時間を削減できます。必要最低限の指示だけで理解してくれるためコミュニケーションコストの削減になり、マネジメント工数の削減にもつながるでしょう。
人間関係におけるトラブルを軽減できる
人間関係で発生しがちなトラブルの軽減にも信頼関係の構築が重要です。信頼関係のない従業員同士で意見が異なってしまった場合、感情論になりがちです。信頼関係が構築できていればこのようなトラブルを軽減したり、回避したり、解消できるケースが増えます。さらに、情報共有が積極的に行われるので、一体感が醸成されてチームワークの向上にもつながります。
お互いにサポートを得やすい環境になる
信頼関係が築けていれば、助けが必要になったときやトラブルが起こった際などに気兼ねなく相談できるようになります。1人で抱えることなく相談できるため、周囲からのサポートを得やすい環境になるでしょう。また、トラブルがあっても周囲の力を借りて乗り越えられるため、成果を出しやすくなります。
定着率が向上する
離職の理由として多いのが、上司や同僚との摩擦やトラブルといった「人間関係の悩み」です。信頼関係が構築できていれば、人間関係の悩みが軽減しますし、トラブルが起こっても相談できる環境になるため、悩みやストレスの減少につながります。これにより、定着率の向上が期待できるでしょう。
信頼関係を築けていないことで起きるリスク
信頼できる関係が築けていないことで、どのようなリスクが起こるのでしょうか。ここでは、3つのリスクを解説します。
チームとしての成果が上がらない可能性がある
信頼関係が築けていないと、チームとしての成果が上がりにくくなる可能性があります。信頼関係がない場合、情報の共有は必要最低限にとどまりがちです。
そのため、スムーズに情報共有する以前に、各個人が抱えている業務や課題が見えにくくなる危険性が高まります。その影響としてチームとしての進捗や状況が把握しにくくなり、結果としてチームの成果が思うように上がらなくなることがあるのです。
ミスが発生しやすくなる
信頼関係のない環境では、チームメンバーのコミュニケーションの量や頻度が少なくなります。コミュニケーション不足によって、必要な情報が共有されずにミスが発生しやすくなることは大きなリスクです。不明点があっても聞きにくい、相談しにくいなどコミュニケーションの問題がミスにつながる可能性があります。
離職につながる
前述したように信頼関係がしっかり築けていると、社員定着率の向上につながります。その反面、信頼関係が構築できない組織では、離職につながりやすい環境になるともいえるのです。上司や同僚などとの間でトラブルが起こるなど、人間関係の悩みが発生しやすくなってしまうため、結果として離職につながる可能性が高まります。
信頼関係を築くことが上手い人の特徴
信頼関係を築くことが上手い人にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、3つの特徴を解説します。
小さな約束ごとを守る
まずは、小さな約束ごとでもしっかりと守る人です。たとえば、決められた時間やルールを守る、決められたことを必ず遂行するなど、小さな約束ごとをしっかりと守って実績を積み重ねます。小さな約束ごとを積み重ねていくことで信頼が高まっていき、良好な信頼関係の第一歩となります。
発言と行動が一致している
発言と行動が一致していることも、信頼関係の構築には欠かせません。自分の発言に責任を持って行動できる、有言実行の人は信頼を得やすいでしょう。逆に、発言するだけで実行しない人は信頼されません。自分が発言したことは必ずやり遂げる、自分の発言に責任を持てる人は、そうでない人と比較して信頼を獲得するのが容易です。
できないことは断る
信頼関係を築くことが上手い人は、できないことはしっかりと断るという特徴があります。何でもやみくもに引き受けるのではなく、できないことは素直に断ります。信頼されたいという思いから、何でも引き受けるべきだと考える人もいるかもしれません。しかし、不可能なことまで引き受けると結果的に約束を守れなくなり、逆に信頼が損なわれてしまいます。
信頼関係を築くためのポイント
信頼関係を築くには、3つのポイントを意識しましょう。ここでは、各ポイントについて詳しく解説します。
相手に関心をもつ
相手に興味関心をもつことが重要です。関心をもってコミュニケーションをとることで、相手にもそれが伝わります。自分に興味関心をもっていると思えば、相手もコミュニケーションがとりやすくなります。
人格を磨く
人格を磨くことで、自然と周囲からの評価が高まり信頼を得られるようになります。前述した「信頼関係を築くことが上手い人の特徴」を意識して行動することで、人格が磨かれていくでしょう。
話を真剣に最後まで聞く
相手の話をしっかりと聞くことも重要です。話を途中で遮らずにしっかりと聞いたうえで、自分の意見を伝えます。相手の話を理解してから自分の意見を伝えることで、相手からの納得を得やすくなるでしょう。
組織の信頼関係を築くための5つの施策
組織の信頼関係を築くには、どのような施策が有効なのでしょうか。ここでは、5つの施策を紹介します。
職場環境についてのアンケートを実施する
職場環境について、定期的にアンケートを実施しましょう。従業員が困っていることはないか、不満はないかなどをヒアリングし、誠意を持った回答をして意思決定のプロセスを明確にすることで、意見を聞いてもらえる職場環境であると従業員に示せます。信頼関係を築くうえで、意見を伝えやすい環境を作ることは欠かせません。
透明性を促進する
組織における透明性は、信頼性を築くために必要です。組織の透明性を促進する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
・チームに最新情報を伝える
・フィードバックの場を作る
・決断の理由を共有する
・期待される内容を明確にする
透明性が高くなることで、スムーズなコミュニケーションにつながります。
相互理解のための機会を設ける
相互理解とは、従業員同士が異なる価値観や考え方を理解し合うことです。相互理解を深めるためには、自分史やモチベーショングラフなどの、お互いの価値観や考え方、これまでの人生などがわかるものを共有し合うのも一案です。
また、懇親会やシャッフルランチといった社内イベントを開催することも有効です。コミュニケーションの場を設けることで、プライベートな一面を知れるなどお互いへの理解が深まりやすくなるでしょう。
MVVを浸透させる
MVVとは、「ミッション・ビジョン・バリュー」のことです。MVVを浸透させることにより、共通の判断基準や行動基準、企業としての方向性などを従業員が理解できるようになります。目指すべき地点や向かうべき方向性を統一できるため、コミュニケーションの齟齬が軽減されるでしょう。
MVVを浸透させるためには、ワークショップの実施などが効果的です。MVVについて話す機会を設けて、MVVに対する理解を深めることが大切です。
サンクスカードを導入する
サンクスカードとは、従業員同士が感謝の気持ちを伝え合う制度のことです。たとえば、仕事をするうえで助けられたできごと、かけてもらった嬉しい言葉などを、上司や同僚、部下などで共有するシステムです。社内コミュニケーションの活性化につながるため、信頼関係を構築しやすくなります。上司だけでなく、同僚や部下からの評価は信頼につながるでしょう。
まとめ
信頼関係を築くことは、組織の成功には欠かせない要素です。信頼関係を築くことでチーム力が強化され、生産性の向上につながるでしょう。また、人原関係のトラブル軽減にもつながるため、定着率向上なども期待できます。組織の信頼関係を築くために、職場アンケートを定期的に実施したり相互理解の場を設けたりといった施策を検討するとよいでしょう。
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