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エンゲージメントとは?その重要性と向上させる4つのメリット・7つのポイントを解説

エンゲージメントとは、従業員が所属する組織に対して感じる強いつながりや一体感、そしてそこからくる組織への貢献意欲です。従業員の企業に対する思い入れを指し、個人と組織が対等な関係性を保ちつつ成長していく上でエンゲージメントは重要な鍵を握ります。この記事では、企業の担当者に向けて、エンゲージメントの重要性やメリット、向上するためのポイントなどを解説します。ぜひお役立てください。

エンゲージメントとは

エンゲージメントとは、もともとは「約束」という意味です。ビジネスシーンでは、「顧客エンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」がよく使用されます。顧客エンゲージメントは、顧客が企業に抱く愛着度を指し、従業員エンゲージメントは、従業員が組織に抱く愛着を示します。

この記事では、従業員エンゲージメントについて解説します。

従業員満足度やロイヤルティとの違い

エンゲージメントと意味合いが似ている言葉に、従業員満足度とロイヤルティがあります。従業員満足度は、従業員の一方的な評価であり、必ずしも生産性向上にはつながりません。ロイヤルティは、従業員の企業に対する忠誠心や所属意識を示します。いずれも、従業員と組織がお互いに絆を強めるエンゲージメントの関係性とは異なります。

エンゲージメントが高ければ、従業員1人ひとりがさまざまな価値観を持ちつつも、仕事に対してやりがいを感じることができます。組織との関係が対等で、個人が意思を尊重されていると感じ、意欲的に仕事に取り組める状態です。従業員の価値観と企業の方向性が一致しているときに実現します。

エンゲージメントの重要性

エンゲージメントが高い従業員は、企業の生産性向上に寄与できるとともに、離職率が低くなります。近年は、仕事よりもプライベートを重視したり、報酬よりもやりがいに重点を置いたりといった、「働き方」に対する価値観が多様化しています。

労働人口減少が深刻化するなかでエンゲージメントの重要性は高まり、従業員に寄り添った組織のあり方が重視されるようになっています。

従業員エンゲージメントを構成する3要素

従業員エンゲージメントは、以下の3つの要素で構成されています。

要素1.理解度:従業員と企業が同じゴールに向かって進むために、理念やビジョンなどの理解度を高めることが必要
要素2.共感度:従業員や組織に対して、帰属意識や愛社精神を持たせるための、共感度が重要
要素3.行動意欲:従業員1人ひとりが、企業のために行動しようとする行動意欲が求められる

「理解度」「共感度」「行動意欲」の構成によって、従業員エンゲージメントが形成されます。

エンゲージメント向上の4つのメリット

従業員エンゲージメントの向上は、従業員と企業の双方にとってメリットがあります。主な4つのメリットを解説します。

業績が向上する

エンゲージメントが向上することで、仕事の生産性や質が高まり、結果として企業の業績改善につながります。売り上げを向上させるためには、顧客のニーズに応えなければなりません。顧客対応の改善により、顧客満足度の向上も可能です。

モチベーションが向上する

企業への愛着や信頼度が高まり、従業員が主体的に行動できるようになります。仕事への熱意も高まり、モチベーションも上がるでしょう。モチベーションの高い従業員が増えることで、職場環境や雰囲気がよくなり、従業員同士のコミュニケーションの活発化にもつながります。

離職率が低くなる

エンゲージメントが高くなると、離職率が下がります。企業への貢献意欲も向上するため、転職による人材の流出防止につながります。一体感のある職場環境は、活気をもたらすだけではなく、チームワークの向上も期待ができるでしょう。また、従業員のメンタルヘルスの問題が発生しにくくなり、休職率を下げる効果も期待できます。

採用コストを削減できる

離職率が低下することで、採用コストの削減が可能です。優秀な人材の採用には、時間や採用コスト、採用後の教育コストがかかります。従業員エンゲージメントが高い従業員は、企業への貢献意欲があるため、従業員が友人や知人を紹介する「リファラル採用」の実施が望めます。エンゲージメントの向上は、さまざまな形で企業の利益率の改善に連動します。

従業員エンゲージメントの測定方法

従業員エンゲージメントの測定方法は、アンケート調査が一般的です。主に、パルスサーベイといわれる調査法を用いて、高頻度で繰り返し行います。以下にて、質問例をいくつか紹介します。

・自分の仕事が重要なものだと感じる
・自分の得意なことを仕事に活かすチャンスがある
・この1年で仕事を通じて自分の成長を実感できた

通常は、簡易的な5~15問ほどの設問を目安に、5段階または10段階評価で回答を得る方法です。または、「〜していますか?」のような質問形式で自由回答を求めるケースもあります。

【ご参考】『社員エンゲージメントを高めるための質問 30選』

従業員エンゲージメント向上のための7つのポイント

従業員エンゲージメントを向上させる方法はいくつかあります。主な7つのポイントを解説します。

経営理念を共有して浸透させる

従業員が経営理念を理解し、それに共感するようになれば、組織に貢献したいという思いが強まります。そのために従業員1人ひとりの価値観を把握しておくとよいでしょう。個人のビジョンやそのビジョンに合致する主体的に取り組める業務を把握することが重要です。個々がビジョンを実践できれば、協働意識が向上し、より団結力が高まります。

従業員の価値観を理解する

従業員の価値観を理解することが求められます。仕事を頑張りたかったりプライベートを充実させたかったり、価値観は人それぞれです。従業員が働くうえで何を重要視しているのかをヒアリングし、働きやすい職場環境を整えましょう。

活発なコミュニケーションができる環境を整える

コミュニケーションが活発な職場は、安心感が高まります。社内のサークル活動やイベント企画、ビジネスチャットツールの導入など、積極的なコミュニケーションを図れる環境を整えましょう。コミュニケーションを頻繁に取ることで、組織というコミュニティに貢献したいという意欲が高まり、業務に主体的に取り組むようになり、結果として従業員の大幅なスキルアップにもつながる可能性が高まります。

「タレントマネジメント」を導入する

タレントマネジメントとは、従業員のスキルを客観的に分析し、戦略的な育成や配置に活用する施策のことです。人材情報の集約や業務の可視化を行い、個々の能力が最大限に発揮できる適切な人材配置を目指します。現場の問題解決において、業務量の偏りや長時間労働など、従業員のモチベーション低下に直結する要素も見つけられます。

マネジメント層を教育する

マネジメント層は、従業員の能力を引き出す役割を担い、伝え方やフィードバックをする能力を高めることも重要です。適切なサポートができるように、コーチングの方法を取り入れて、部下との対話や教育を充実させましょう。

公平な人事評価制度を整備し周知する

終身雇用制や年功序列制などの雇用形態は、不平等をもたらし成果が反映されにくいため、エンゲージメント低下につながります。自分の成果が公平に評価される環境であれば、モチベーションを保てます。

経営陣は、組織目標と個人の適性や志向を調整し、従業員の希望に応じた業務を割り当てることが大切です。公平で正当な評価制度を整備して、趣旨や内容の周知が必要です。

働きやすい環境を整える

正当な人事評価に加えて、インフラの充実といった働きやすい環境づくりも必要です。休みが取りやすい、リモートワークができるなどが主な対策です。物理的な環境整備だけではなく、「承認欲求」「貢献欲求」「成長欲求」などの「感情報酬」も提供できるよう工夫するとよいでしょう。従業員の意欲や主体性を引き出すことで、従業員個々の貢献が企業の成長に寄与します。

エンゲージメント向上のための注意点

エンゲージメントを向上させるためには、いくつか気をつけるべき点があります。2つの主な注意点を解説します。

定期的に調査する

従業員エンゲージメントは、結果が見えにくいという特徴があります。できるだけ短いサイクルで測定して、改善点を見つけましょう。定期的に測定できる仕組みを導入し、的確に現状を把握し数値として見える化を図ることが重要です。

エンゲージメントを管理しすぎないようにする

職場環境を整えても、エンゲージメントが思うように向上しないケースもあるでしょう。施策の意図や背景を十分に説明せずに、エンゲージメントを管理しようするとかえってエンゲージメント低下につながってしまいます。管理をしようと押しつけるのではなく、従業員が自由にチャレンジできる環境づくりが有効です。

従業員エンゲージメントの向上のための3つの施策例

従業員エンゲージメントを向上するために重要な3つの施策例を紹介します。

ピアボーナス

ピアボーナスとは、従業員同士がお互いに報酬やポイントなどを贈り合える仕組みです。日々の成果を従業員同士で評価し合うことで、社内の風通しのよい雰囲気が定着しやすくなります。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた時間内で、自由に出退勤ができる制度です。通勤ラッシュを避けたり、子どもの送り迎えができたり、各自の判断が可能です。周りに気負わずに業務が進められるため、人材流出を防ぐ方法としても注目されています。

シャッフルランチ

シャッフルランチとは、企業からランチ代を支給し、普段は接点のない従業員同士でランチをとる機会をつくることです。コミュニケーションの活性化や、横のつながりの強化につながります。仕事の時間よりも柔らかいリラックスした雰囲気の中、業務中よりも率直な意見交換ができる可能性もあります。

まとめ

従業員エンゲージメントは、離職率の高い企業の状況を考慮すると、重要な取り組みであるといえます。定期的にアンケートを取り、従業員に寄り添った管理を行えば、エンゲージメントの定量化は可能です。エンゲージメントを向上させるためのポイントや注意点などを把握し、適切な手法で実施しましょう。

最高の業績を上げている組織は、常に以下の4つの点を適切に実施しています。

・各階層で優れたリーダーを育成する
・個々人に効果的な習慣を形成する
・包括的で信頼性の高い文化を構築する
・共通の実行システムにより最重要目標を追求する

フランクリン・コヴィーは、上記の4つの重要領域における組織の行動変容の実現を通して
「お客様の成功」に貢献するサービス提供や支援をしています。人材育成や、組織風土の醸成や変革などご検討されている方はこちらよりお気軽に問い合わせください。

【お役立ち資料】社員エンゲージメントを高めるための質問 30選

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ご紹介項目
仕事の面白さと充実感に関する質問
同僚・上司との関係性に関する質問
チームワークとコラボレーションに関する質問
ワークライフバランスに関する質問
自己実現とキャリア形成に関する質問
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