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オンボーディングの施策と導入事例4選│目的やメリット、導入ステップも解説

オンボーディングは、新入社員の定着や即戦力化に有効的な取り組みです。目的に適したオンボーディング施策があり、顧客に対しても応用することができます。

この記事では、オンボーディング施策のメリットや有効な施策例、企業別の導入事例などについて解説します。ポイントや手順についても参考にしてください。

オンボーディング施策と活用

オンボーディングは企業が主導して、新入社員が早く組織に馴染んで力を発揮できるようにする取り組みです。英語のon-boarding(飛行機や船を使って目的地まで行く)から、名付けられています。新入社員の「順応」「育成」「定着」を図る目的で行うプロセスです。期間は、3か月から半年、長くて1年ほどかけて継続して行います。

カスタマーサクセスへの応用

オンボーディングは、カスタマーサクセスにも応用できます。カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客がそのサービスを難なく使いこなせるようにすることで、サービスの継続利用を促し、解約を回避することが目的です。初期段階で不明点を解消したり顧客のストレスを取り除いたりすることで、短期間でサービスの価値に気付き、「継続して利用したい」と感じる体験を提供します。

オンボーディング施策を行う理由とは?

オンボーディングを行う理由は3つあります。
1つめは、仕事のミスマッチや人間関係で社員が早期退職し、人材が定着しないことです。オンボーディングを行うことで組織への理解を深め、早期退職を防ぐことが急務となります。

2つめは、リモートワークによる孤立感の高まりです。オンボーディングを行うことで、オンライン上でのコミュニケーションでは気づかなかった不満を解消します。

3つめは、部署による教育格差です。 組織全体で人材教育の共通認識を持ち、教育方針に違いが生まれないようにする必要があります。

オンボーディング施策のメリット

オンボーディング施策を行うメリットは、2つあります。モチベーションの維持と採用費用の削減です。

モチベーションの維持

オンボーディングで、組織や企業への愛着(エンゲージメント)が高まり、「モチベーション維持」や「生産性の向上」につながります。新入社員がオンボーディングにより早い段階で組織に馴染むことで、従業員間のコミュニケーションの活性化を期待できるためです。仕事の疑問点や改善点などの積極的な意見も出やすくなり、組織への理解がより深まります。

採用費用の削減

オンボーディングを行うことで、新しく人員を採用したり、研修したりするコストの削減につながるのもメリットと言えるでしょう。常にコミュニケーションをとることで、仕事の不安や疑問を早期に解消できるため、新入社員がストレスを抱え込んで離職する事態を防げるからです。

有効なオンボーディング施策例

ここでは、オンボーディングを有効に進めるための施策例を3つ紹介します。それぞれ「早期離職の防止」「即戦力」「人間関係」に関するものです。

早期離職を防止する施策例

オンボーディングで早期離職を防止するための施策は、主に4つあります。「経営理念が記載されたガイドブックの配布」「マネジメント陣による講義」「組織の目標を周知させる説明会」「組織独自の専門用語や略語の説明会」などです。4つの施策を通して早く社風に馴染んでもらうよう、組織全体で取り組みます。

即戦力化を後押しする施策例

新入社員に早く仕事を覚えて即戦力となってもらうためには、組織として事前の準備が必要になります。入社前に研修を行い、社会人としての基礎やマナーを教えたり、OJT(オンザジョブトレーニング)を通して実践的に仕事をしたりなどです。各種マニュアルの作成も必要になります。業務に対する理解や認識にズレが生じているようなら、リーダーが面談の機会を設けて不安を解消しましょう。

人間関係の施策例

人間関係がうまくいかずに孤立し、早期離職してしまう事態を避ける対策も必要です。具体的には、「メンター(先輩社員による支援)制度を設ける」「同期会・歓迎会・ランチ会を開催する」などが有効な方法です。意識的に職場に馴染みやすい環境を作ることで、なにか困ったことがあるときにも相談しやすくなります。

企業別オンボーディング施策の導入事例

ここでは、オンボーディング施策の4社の導入事例を取り上げます。

施策事例1:キユーピー株式会社

キユーピー 株式会社は、新入社員に3年間のオンボーディング期間を設けています。具体的には、「入社前研修」「OJTや外部研修の受講」「組織のリーダーとの面談」「各種マニュアルの提示」です。外部研修の受講では、業務の合間にも受講できるようe-ラーニングをうまく活用しています。

施策事例2:日本オラクル株式会社

日本オラクル株式会社では、現場の上司とは別に、ナビゲーターとサクセスマネージャー(教育担当とサポート担当)と、2人のメンターがいます。新入社員には目的別に質問できるメリットがあります。サポート役は、役割を分担することでキメ細かいアドバイスを送れるのがメリットです。中途採用者に対しても「経営理念」や「組織形態」「ルール」などの基礎研修をしっかりと行っています。

施策事例3:LINE株式会社

LINE株式会社は、新入社員を新規顧客のように丁寧にサポートしているのが特徴です。LINE上の窓口を設置しているのもポイント。仕事以外の人間関係の悩みなどにも幅広く対応し、手厚いサポートを行うことで、新入社員の不安を解消し安心感を与える環境作りをしています。

施策事例4:有限会社原田左官工業所

有限会社原田左官工業所では、「仕事は見て覚えるもの」という従来の教育方法を見直し、約4か月の教育訓練を実施しています。まず手本を徹底的に真似ることからはじめ、4年掛けて1人前の職人を目指す仕組みです。「職人そのものが財産」という考え方に基づき教育。その結果、離職率を10分の1まで減らすことに成功しています。

オンボーディング施策を成功させるポイント


オンボーディング施術を成功させるポイントは、細かい目標設定と教育体制、メンター導入や社内の意識付けの3つです。

細かい目標と充実した教育体制を整える

オンボーディングを成功させるためには細かい目標を設定し、PDCA(業務改善の枠組み)をうまく回しながら、短期間で成果を時間できるようにするのがポイントです。どんどん仕事を覚えて成功体験を積むことができれば、本人の仕事に対する自身やモチベーションも高まっていくはずです。

メンターの導入や社内の意識付け

新入社員と年齢が近い従業員をメンターに指名し、業務以外のフォローをすることも重要です。親しみやすい人間関係を構築することで、組織に馴染みやすい環境を整えます。メンターの育成スキルは、そのまま新入社員の仕事の成果にも直結するため、既存社員の日常的なコミュニケーション能力が重要です。コミュニケーションが活性化することで仕事への意識が高まり、相互によい影響を与えられるでしょう。

オンボーディング施策3つの導入ステップ

オンボーディングを導入するためには、3つの導入ステップがあります。「入社前」「入社直後」「入社後」です。

1. 入社前:施策内容の準備と周知

オンボーディングを進めるためには、まず、既存従業員にも施策内容を周知しておくことが大切です。事前に周知しておくことで、いざオンボーディングの開始となったときに組織内の混乱を防げます。新入社員が入社する前から、組織全体としてビジョンや方針を共有しておくことで、入社後の不安を取り除くことが可能です。

2.入社直後:期待値を調整する

入社から「1週間」「1か月」「半年」「1年」と期間を区切り、スケジュールに沿ったオンボーディング計画を立てましょう。オンボーディングを実施したあとには、働き始め前後に生じるギャップに備え、新入社員へヒアリングする場を設けて期待値を調整することも大切です。このことにより、早期の離職を防ぐことができます。

3. 入社後:振り返りを行う

入社後には振り返り期間を設けます。定期的なミーティングで、新入社員と話をする機会を作りましょう。実際の気持ちを打ち明けやすいよう、メンターとともに話しやすい環境作りをすることが大切です。仮にズレが生じている際には、人事などの関係者もサポートに回り、疑問や不安を解消していきます。

まとめ


オンボーディング施策や導入事例などについて解説しました。腰を据えた人材育成で早期退職を防ぎ、安定した組織運営を目指すのがオンボーディングの目的です。「入社前」「入社直後」「入社後」とステップを踏みながら着実に進めていきましょう。

パフォーマンスのよい組織の共通点には以下のようなものがあります。

● 各階層で優れたリーダーを育成する
● 個々人に効果的な習慣を形成する
● 包括的で信頼性の高い文化を構築する
● 共通の実行システムにより最重要目標を追求する

これらを実現するためのさまざまな組織開発・人材育成サービスの提供を通した組織の支援をフランクリン・コヴィー・ジャパンは行っています。

組織開発・人材育成において、課題があり、改善・解決をしたいとお考えなら、ぜひフランクリン・コヴィー・ジャパンにこちらからご相談ください。

優れたリーダーの育成や、従業員1人ひとりに向けた効果的な習慣の形成、包括的で信頼性の高い文化の構築、重要目標を追及できるシステムの導入など、お客様の成功に貢献するサービスや支援を提供しています。

【事例付き】新人・若手育成ソリューション

新人・若手教育は企業が主導して、新入・若手社員が早く組織に馴染んで力を発揮できるようにする取り組みです。

新たに組織に加入したメンバーのの「順応」「育成」「定着」を図る目的で行うプロセスです。

「早期離職を防止」し、「即戦力」になってもらい、長い間組織を支える貴重な人材として働いてもらう上でも極めて重要なのがこの時期の社員教育です。

【ご紹介項目】
1. 新⼈と受け⼊れ側の課題
2. 新⼈・若⼿育成ソリューション『PRO-ACT』のご紹介
3. 導⼊事例のご紹介
4. もう1つの新⼊社員育成『ディスカバリー3.0』のご案内
5. フランクリン・コヴィー・ジャパンのソリューション相関図

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