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リスキリングとは|人材育成に必要なスキルの具体例や導入事例、活かし方を解説

近年、報道などで耳にする機会も多いリスキリング。組織に導入する際には、どのようなことを知っておくべきなのでしょうか。

従業員のリスキリングを後押ししようと考えている方に、リスキリングの概要やメリット、デメリット、学ぶべきスキル、活かし方などについて解説します。

社内業務に精通した人材を作り、今以上に業務を効率化するためのヒントにしてください。

リスキリングとは?

リスキリングとは、経済や社会の変化に対応するため、業務に必要なスキルを新たに学ぶことや、従業員に教えることをいいます。

従業員自身の価値を高めるだけでなく、社会全体の競争力やイノベーションも向上させるため、これからの時代、ますます注目が集まることが予想されています。

リスキリングのゴールや活かし方は?

リスキリングを実施することで、従業員1人ひとりの能力が高まるだけでなく、組織の文化や雰囲気も大きく変化します。

異なる部署や職種と連携したり、自分の知らない知識を吸収したりすることで、俯瞰的な知識やスキルを身につけられるからです。

リカレントやアンラーニングとの違いは?

リスキリングはしばしば、リカレントやアンラーニングといった考え方と比較されます。これらの概念との違いを解説します。

リカレントとの違い

リカレントは、個人が社会人大学などで新しい知識を身につけることをいいます。
リカレントで学ぶ内容は、自己実現や趣味など、個人の人生を豊かにするものが多い特徴があります。

一方リスキリングは、従業員が業務上必要なスキルを身につけることを主眼に置いており、この点は大きな違いといえます。

アンラーニングとの違い

アンラーニングとは、これまで身につけてきたスキルや考え方を放棄することをいいます。

リスキリングはスキルを身につけることが主眼に置かれる一方、アンラーニングはスキルを手放すことが主眼に置かれます。

アンラーニングとリスキリングはお互いを補い合う関係にあるため、バランスよく実施することで、それぞれの効果が高まります。

リスキリングが注目される理由

近年ニュースでも取り上げられることの増えたリスキリング。なぜ注目されるようになってきているのでしょうか。理由を解説します。

リスキリングを後押しする政策

日本政府は2018年ごろからリスキリングを推進しており、これをうけて組織も、積極的にリスキリングに取り組みはじめる流れが生まれました。

内閣府では、2022年度からの5年間で230万人のデジタル推進人材を育成する目標が立てられているほか、人材開発支援助成金の給付やポータルサイトの公開など、さまざまな取り組みが実施されています。

DXの浸透

DXとはデジタル・トランスフォーメーションのことで、デジタル技術を活用し組織のビジネスモデルを変革することをいいます。

急激に変化していく社会や市場のニーズに応えるためには必須の取り組みといえ、多くの企業が力を入れています。

しかし、DXを成功させるには、従業員がデジタルスキルを身に付けることが不可欠です。従業員のデジタル技術に対する理解や適応力を高める施策の一環として、リスキリングが注目されるようになりました。

リスキリングを促進するメリット

リスキリングを組織が促進するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

生産性の向上

リスキリングによってスキルが身につけば、業務の効率化や顧客との信頼関係の強化など、ビジネスに大きな可能性が生まれます。

新規事業の創出や売り上げ増加、組織の規模拡大にもつながることが予想されます。

採用や教育コストの削減

スキルを持った人材を新たに採用したいと考える場合、組織は求人広告や面接、研修、指導などに対して多額の費用を支払わなければなりません。

今いる従業員に新たなスキルを身に付けてもらえれば、これらのコストを抑えられるうえ、社内文化や事業内容に即した適切な形で習得したスキルを活用してもらいやすいはずです。

新たなアイデアを生み出せる

スキルを身につけることで視野がひろがるほか、新しい視点やインスピレーションを得ることも期待できます。

社会制度や価値観が激しいスピードで移りかわる現代において、組織は、従来の思考や行動に固執せず、変化に柔軟な対応を取ることが求められています。
組織の競争力を保つためにも、従業員のリスキリングは必須の取り組みだといえるでしょう。

企業文化を維持できる

スキルを持った人材を新たに採用する場合、組織がもともと持っていた文化を維持できなくなる可能性があります。長年在籍していた従業員が組織の文化に愛着を持っていた場合、離職を招いてしまうこともあるかもしれません。

従業員に新しいスキルを身に付けてもらえば、組織がこれまで守ってきた文化を守りながら、業績の向上や業態の変革を起こせます。

リスキリングを促進するデメリット

メリットの多いリスキリングですが、導入時にはデメリットも把握しておくことで、トラブルや期待違いによる後悔を防げます。リスキリングのデメリットについて解説します。

時間を確保する必要がある

株式会社ワークポートが2023年に実施した調査では、組織がリスキリングを実施できない理由の一つに、時間や費用の捻出への負担の大きさが挙げられています。

株式会社UZUZによる2022年の調査では、リスキリングにかける時間は月に10時間以上20時間未満が最も多く、平日に30分〜1時間程度の勉強時間を捻出する必要があることが分かります。
就業時間内に勉強時間を確保する場合、業務にも影響が出ることが予想されます。

リソースと予算が必要

株式会社manebiが2022年に実施した調査では、従業員数が1,000人未満の組織では、半数近く(49パーセント)が100万円未満の予算しか用意できていないことが分かっています。

リスキリングでは、予算にくわえて、研修やコーチングなどの体制や仕組みを整えるなどの準備も不可欠です。どの程度のリソースが必要になるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

効果が出るまでに時間がかかる

ユナイテッド株式会社が2021年に行った調査によると、リスキリングで効果を実感するには時間がかかると考えている企業は少なくないことが分かっています。

リスキリングは、導入してすぐに売り上げの増加や業務改善といった目に見える効果がうまれるわけではありません。組織は比較的長期間にわたって辛抱強く取り組みを続ける必要があります。

リスキリングの導入手順

実際に組織でリスキリング・プログラムを導入する際は、どのような手順で進めるべきなのでしょうか。詳しく解説します。

1.学ぶスキルやプログラム、担当者の決定

まずは、リスキリングの推進担当者や担当部署を決定します。

担当者は、現時点で組織に足りていないスキルを分析し、導入するリスキリング・プログラムを決定します。

組織の将来的なビジョンや目標も十分に検討することを忘れないようにしましょう。

2.リスキリング教育を実践する

プログラムを従業員に受講してもらいます。

プログラムの実施形態は、たとえば、自社で教育プログラムを実施したり、外部講師に委任したりするほか、eラーニングや他社出向、大学や専門学校などの教育機関による講義や実習などが考えられます。

組織の業態や特性、文化に合った形態を選びましょう。

3.スキルを実際に活用する

プログラム開始後は、従業員が学んだスキルを実際に活用できる場を組織が率先して作りあげましょう。新しいプロジェクトやチームに参加させたり、異なる部署や役割と連携させたりすることが考えられます。

また、フィードバックや検証の機会をもうけるほか、従業員の報酬アップなどを検討することで、よりいっそうモチベーションの向上を狙えます。

リスキリングを導入する際の注意点

ここからは、リスキリングを導入する際に踏まえておくべき注意点を解説します。

1.従業員の賛同を得られないケースも

新しいスキルを学ぶことには、少なからず負担がかかります。このため、現在の仕事に満足している従業員からは反対の声が上がることもあるかもしれません。

モチベーションの低下を防ぐためにも、組織は事前に、リスキリングによって得られるメリットを従業員に対して説明しましょう。従業員から意見や希望を聞き取り、それに応じてカスタマイズしたプログラムを提供することも効果的です。

また、リスキリング・プログラムは就業時間内に実施することも、モチベーション維持には重要です。

2.従業員のモチベーションを重視する

リスキリングによって目に見える効果を実感するためには、従業員が一定期間、継続的に勉強に取り組む必要があります。このため、モチベーションを維持することは何よりも重要といえるでしょう。

組織や従業員の文化に合わせた柔軟なプログラムの設定や、インセンティブやメンター制度の導入を検討しましょう。

リスキリングするスキルの具体例

リスキリングに取り組む際に選ばれることの多い、人気のスキルについて解説します。

1.ITスキル

DXへの注目もあり、ITスキルの定着には近年大きな関心が寄せられています。

あらゆる業界や職種に役立つ、汎用性の高いスキルであるITスキルを持った従業員がいれば、業務の効率化や、トラブルへの論理的な対応、新規事業の開発などが期待できます。

2.データ分析

データ分析とは、データを整理し、数値から情報を読み取るスキルです。

データをビジネスに活用できている組織は非常に少ないといわれており、データ分析のスキルを身につけることで、業務の幅を大きく広げられると予想できます。

3.コミュニケーション領域

発信力と傾聴力、どちらのコミュニケーション能力もバランスよく伸ばすことで、組織内のチームワークを大きく向上させられます。

また、顧客やステークホルダーとの信頼関係の構築にも役立つでしょう。

まとめ

従業員の新たな学びを組織がサポートするリスキリング。社会や市場の環境が大きく変化している現代、組織が生き残るためには非常に重要な考えといえるでしょう。

導入には従業員のモチベーションを維持するための工夫が必要になります。事前にリスキリングについてしっかりと知識を持ち、組織にも従業員にも実りの多いプログラムを導入しましょう。

パフォーマンスのよい組織の共通点には以下のようなものがあります。

● 各階層で優れたリーダーを育成する
● 個々人に効果的な習慣を形成する
● 包括的で信頼性の高い文化を構築する
● 共通の実行システムにより最重要目標を追求する

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