②「Initiative」(イニシアティブ:戦略目標設定)を実践する
③理解と共感で「Engagement」(エンゲージメント)を高める
④リーダーとして「Transparency(トランスペアレンシー:透明性)」を保つ
⑤「Accountability(アカウンタビリティ)」とは結果責任【本記事】
アカウンタビリティとは、もともとは会計用語で、「経営者が株主や投資家に対して企業の経営や財務の内容を報告する義務」という意味です。一般的には「説明責任」と訳され用いられます。背景には、起きた結果に対して説明する義務がある、つまり、その結果に対して責任があるということですが、ここではより明確に、「説明」だけではなく、「結果」を重視し、「結果に対する責任」という意味として見ていきます。
日本では、企業文化として、結果を重視するものの、プロセスのほうがより重要だとする考え方があります。たいした努力が見えないまま結果を出すことよりも、じゅうぶんな結果を出すことはできなかったものの全力で取り組んだことに対して評価する文化です。
確かに、結果は本人の努力以外の要素が関与することも多く、メンバー個人の成長を考えれば、プロセス重視の側面も重要かもしれません。しかし、「最重要な戦略目標」を達成するという役割を持つリーダーにおいては、「がんばったからしかたがない」という言葉は、使うべきではないでしょう。
チームで達成したい戦略目標については、期限が過ぎたあとで、プロセスは問題なかったとして「やるべきことはやりましたが、このような理由で達成できませんでした」と役割責任を説明されても、後の祭りです。過去の結果を挽回することはできません。
ビジネスにおいて最重要なことは「結果」です。アメリカでは、プロジェクト・マネジメントを計画し行う場合、アカウンタビリティはプロジェクト・マネージャーがその責任を担います。アカウンタビリティを果たすために、計画を立て、メンバーを集め指示します。そして、その結果に対して責任を負います。
現在、日本でも多くの仕事がプロジェクト化していることを考慮すれば、この考え方は日本でも浸透していくと考えられます。
ですから、必ず実現したい戦略目標については、定期的に(できれば毎週)セッション(ミーティング)を開催し、リーダーを含むメンバーそれぞれがコミットメントを設定し、そして取り組むだけの「役割責任」だけではなく、「結果責任」を引き受ける状態をつくらなければなりません。
毎週「戦略目標」の進捗についてのセッションを行う
チームとしてなんとしても達成したい戦略目標の進捗をマネジメントするには、四半期や半期で確認していたのでは間に合いません。そのときに「達成しない」ことが判明しても、「時すでに遅し」の状態だからです。ですから、常にリアルタイムで、目標の進捗を見ておく必要があります。
できれば、毎週チームで、その進捗を確認する機会を設けるべきです。ポイントは毎週、決まった場所、決まった時間、決まったメンバーで集合し、戦略目標の達成状況、その戦略目標を達成するための先行指標の達成状況、そしてそれに係るアクションの実施状況の話以外は一切しないという時間を持ちます。
この「戦略目標に関する話以外はしない」というのがポイントです。多くのチームミーティングでは、「先週、こんなトラブルがあり、誰か助けてもらえませんか」といった、いわゆる「緊急で重要な出来事」が取り上げられてしまい、そのためのアクションプランに終始してしまいます。なんとか解決策が見つかると、リーダーを含めたメンバー全員が達成感にあふれて、本当に達成すべき「戦略目標」の進捗については、関心外になってしまいます。
リーダーは、突発的な話が出た場合は「その話は別の場を持とう」と導き、あくまで達成すべき「戦略目標」についてのセッションにします。
リーダーを含めたメンバーは、戦略目標や先行指標を達成するための「毎週のコミットメント(実行計画)」を一人一人が設定していきます。それをアカウンタビリティとして、その責任を引き受けます。設定されたコミットメント(実行計画)は下記の要素を含んだものでなければなりません。
②いつかではなく、今週(または来週)の先行指標の針が具体的に動くもの
③チーム目標のためのものなので、全員に宣言され、結果報告が求められるもの
これらのポイントに基づいた「毎週のコミットメント」となるアクションは、通常の計画の落とし込みのアクションとは格段に責任意識のレベルが違ったものとなるでしょう。
本人の責任感とやる気任せではなく、この「毎週のコミットメント」であるアクションもきちんとシステム上、共有化され、先週の達成度合いや今週の進捗度合いを、上長やチームもタイムリーに確認することができると、それが実行される確度はより高いものとなっていきます。