新入社員研修は社会人としての入り口であり、組織で活躍する人材を育成する第一歩です。新入社員研修は、重要な研修であるため、カリキュラムの作成などで悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。今回は、新入社員研修の設計方法や内製研修・外注研修のメリットなどを解説します。ぜひ、自社の新入社員研修に役立ててください。
代表的な新入社員の研修方法
新入社員研修は、職種や研修目的に合わせて研修方法を選択します。ここでは代表的な研修方法を6つ紹介します。
グループワーク
グループワークは、テーマに対してチームで協力して取り組む研修方法です。新入社員研修のチーム構成は、新入社員のみでチームを組織したり、先輩従業員をリーダーとしてチーム編成をしたりするケースが一般的です。
テーマに対して役割を分担し、的確に課題解決へと向かわせる方法が一般的です。しかし、役割を決めずにチーム全体で課題解決へ向かわせ、自然とリーダーシップを発揮する人材を育てる方法もあります。
グループワークは、職場に配属され実際にチームで働く上で、必要な能力を養うのに適した研修方法です。新入社員のチームワークやコミュニケーション能力の向上にもなります。
Off-JT(Off the Job Training)
Off-JTとは、一般的な座学による研修です。座学とは、文字通り受講者が座った状態で講師の話を聞くという講義形式となります。新入社員研修では、社内だけではなく、社外での講習会やIT技術を活用したオンライン形式のOff-JTもあります。新入社員全員が揃っているため、企業の理念や価値観、これまでの沿革などを共有することに適した研修です。
近年では、ビジネスマナーの基本を教えることからスタートするOff-JTが増えています。
ロールプレイ
ロールプレイは、実際に起こり得るシチュエーションを疑似体験する研修です。小売業などでは、実際に販売するロールプレイを何度も積み重ねさせて、合格者のみが店頭に立てるケースもあります。来客への対応など一般的なものから取り組み、難易度を上げていく方法が効果的です。
最終的には、クレーマーへの対応などを経験させておくと、いざという時に役に立ちます。また、Off-JTで教えたビジネスマナーが、どの程度習得できているかも、ロールプレイによって確認できます。
ケーススタディ
ケーススタディは事例研究のことで、座学だけでは習得が難しいノウハウやスキルを身につけるための研修方法です。
これまでに、業務中に起こった実際の事例をあげて、解決策を考えさせます。新入社員1人のスキルでは解決できない場合は、グループワークで解決策を導きます。
導いた解決策が、実際に有効かどうかはロールプレイで確認しましょう。ケーススタディからロールプレイの流れを繰り返すことにより、新入社員は経験値を積み重ねられます。
リクリエーション
リクリエーションは、研修で疲れた身体や心をリラックスさせる場合に効果的です。同時に、新入社員のやる気や団結力を高める効果も期待できます。ゲーム感覚のリクリエーションだけでなく、実際にゲームを取り組むケースもあります。
新入社員同士が自然とコミュニケーションを深めることができるだけでなく、運営者や講師らとのコミュニケーションも深まります。
OJT(On the Job Training)
OJTは、業務を実践で学ぶ研修です。新入社員にとっては、ケーススタディやロールプレイングでイメージした業務内容と、実際の仕事内容をマッチングさせる機会になります。新入社員は研修が終われば、新入社員は定められた配属先で勤務します。その際に「メンター制度」や「ブラザーシスター制度」でフォローするところまでが、運営者側の新入社員研修です。
新人研修を行う目的の具体例
新人研修を行う目的が明確でなければ、新入社員は何を身につければよいのかが伝わりません。また、目的を明確にしなければ、カリキュラムの作成は難しくなります。ここでは、一般的な新入社員研修の目的や具体例について解説します。
目的①意識改革
新入社員研修の大きな目的の1つに、プロフェッショナルな社員として適切な行動がとれる人材へと育てる目的があります。また、セルフリーダーシップを育てることも大切です。
社会人になれば社会への責任も負うことを認識させる必要があります。ただし、強制的で行き過ぎた意識改革の強要に対しては、新入社員へのパワーハラスメントとなるケースもあるため、注意しましょう。
目的②企業理念や職場環境を理解させる
新入社員は、入社の目的が十人十色です。そのため、先輩社員と意識を共有するためには、企業理念を周知することが基本となります。企業理念を周知させて、会社組織での自分の役割を理解させ、新入社員の意識に深く浸透させれば、社内の意思統一が容易なるでしょう。
多様性が重視される時代なので、没個性的な内容は排除することが望ましいです。新入社員に理解させる職場環境は、業務内容や社内ルール、商品、サービスなどとなります。
目的③取引先を不快にさせないビジネスマナー
社会人は、ビジネスマナーを守らなければ社内外での評価が下がります。それは、新入社員だからといって例外ではありません。しかし、ビジネスマナーが身についていない新入社員は少なくありません。
新入社員研修で、取引先に不快な思いをさせないように研修することも大切な目的です。電話対応や来客への対応、名刺交換、敬語、接客態度などをしっかりと習得させましょう。ビジネスマナーとともにコミュニケーションスキルも習得できるかもしれません。ビジネスマナーは、社内でも活きるスキルです。
目的④配属先でも活用できる専門スキルの習得
新入社員は、入社したその日から給料が発生するため、できるだけ早い段階で、戦力として役立つよう育てることが重要です。配属先のメンバーも、即戦力として活躍してくれることを望んでいるでしょう。
そのため、業務に必要な専門的スキルを習得させることも大きな目的となり、配属先に適した研修カリキュラムが必要となります。専門スキルを習得させたら、ロールプレイやケーススタディを活用して、実戦配備に対応できるように研修しましょう。
目的⑤仕事への向き合い方の習得も必要
新入社員には、ビジネスマナーやスキルだけなく、仕事に対する心構えも伝えなければなりません。仕事に対して真摯に向かう姿勢がなければ、ミスが多くなり先輩社員に迷惑をかけることになります。組織の看板を背負うのですから、コンプライアンス遵守は徹底させなければなりません。また、仕事に対する自己啓発を促すことも大切です。
目的に沿ったカリキュラムの作成方法
新入社員研修では、目的に沿ったカリキュラムが必要です。ここでは、その作成方法を解説します。
研修目的を明確にする
まずは、各部署へのヒアリング調査を行いましょう。調査内容は、新入社員が、配属までに身に着けおいて欲しいスキルです。調査結果が集まれば、精査して研修目的を明確にします。目的は1つではなく複数準備し、実践で活かせるような研修内容を作成しましょう。研修内容の明確化は、カリキュラム作成の第一歩です。
合格基準の設定
研修内容が決まれば、合格基準を設定しましょう。新入社員に求めるスキルアップや知識の習得などの合格基準の決定は、カリキュラムを組む上でも重要です。明確な合格基準は、新入社員の目標となり、研修を受けるモチベーションアップも狙えます。新入社員が、入社前にもっていると想定されるスキルを、推し測ることも大切です。
実施期間を定める
研修内容と研修の合格基準が決まれば、期間を定めることになります。目的や研修内容、研修方法に応じて所要時間を検討しましょう。新入社員研修に半年から1年以上かける企業もあれば、1週間程度の企業もあります。主眼は新入社員を自社の戦力とすることですので、慎重に検討しましょう。
カリキュリムの検証
研修内容や期間などが決まればカリキュラムを作成します。研修内容や合格基準に合わせて定めた時間をコマ割りします。運営側は模擬研修を行い、目的とするスキルアップができるかを検証しておきましょう。完成したカリキュラムは、新入社員に早めに通達します。新入社員は準備期間を得られ、予習する者も現れます。
新入社員研修は外注を活用という選択肢もある
新入社員研修を内製で行うには、相当の準備時間や人員を割く必要があります。また、研修のプロフェッショナルではないため、期待した成果が上げられない場合もあるでしょう。
外注すれば、研修のプロフェッショナルが自社の希望に沿ったカリキュラムを構築します。人材教育の専門家が研修を行えば、新入社員のスキルアップも望めます。
コストはかかりますが、人事担当者などのバックオフィスの負担が軽減され、既存の社員も研修のノウハウなどを得られるでしょう。
まとめ
新入社員研修は、目的を定め、多くの研修方法から目的に適した研修内容や期間などを決めてカリキュラムを作成します。人事を筆頭とするバックオフィスの負担は相当なものになりますが、望む成果が上げられないケースも少なくありません。
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