戦略を実行するときに、メンバーの「エンゲージメントレベル」はどの程度のものが必要でしょうか。
*エンゲージメントとは人事関連の用語としては愛社精神や愛着心として多く使われますが、ここでは、「決意」「納得感」という意味で使っています。
目標設定に対する納得度合いのレベル
目標設定を下位組織に落とし込んでいく場合、その納得度合い、決意度合いには、いくつかのレベルが存在します。
まず、何を言われているのかよく理解できていない方々です。目標の内容が理解できず、その意義も難しさも分かっていない状態です。
次の段階は、言われたことは理解しているものの、しかしそれに対して同意はしておらず、反対意見を持っている方々です。「実現できるはずがない」「実現してどういう意味があるのだろう」「もっと他にやるべきことがあるはずだ」など、指示された目標にまったく納得していない状態です。
目指すのはBuy-inの状態
最後は、英語で「Buy-in」と呼ばれている、「よく分かった。心から同意する」「乗った!」と賛同している状態です。
現場までのすべてのリーダー/メンバーの状態を計るとしたら、割合としてそれぞれ何割ほどでしょうか。
理想的には、Buy-inレベルがほとんどであれば、戦略実行の観点からはエンゲージメントに関しては全く問題なしということになります。しかし、現実はどうでしょうか。もしかしたらどれにも属さず、頭も心も熱くもなく寒くもなく、目先のことに必死で、組織戦略に、あまり関心を向けない方々も多いのかもしれません。
Buy-inルール
私たちが提供するセッションでは、組織で目標設定のセッションを行う場合、「Buy-inルール」と呼んでいるルールを設定します。
ルール#2: Buy-inしたら、それ以降否定意見はなし
このBuy-inのコンセプトに同意してもらってからスタートすることが大切です。そして、このセッションでアウトプットされたものに関しては、全員がBuy-inするまで続けます。
多くのケースでは、トップ・リーダーがコンテンツを中心に説明し、その後質問を求めますが、いくつかの質問がでるだけで(まったく出ないことのほうが多い)議論にはならず、ほんの数分で、「説明をして理解した」という状況と判断され、それぞれの下位組織の目標設定に入ります。
これは内容へのbuy-inもできていないので、理解度的にも熱量的にもかなりあやしい状態と言えるでしょう。こうした状態で、下位組織に目標を落とし込んだ場合、どのように説明し、どのように落としこまれていくでしょうか。
おそらく、現場のメンバーに伝わるときには、熱量もモチベーションも少なく、現場スタッフが心からコミットすることなどないでしょう。
このような状態は避けなければなりません。どんなに素晴らしい組織リーダーたちで設定されたとしても、伝達はされるでしょうが、残念ながら、エンゲージメントのレベルは低いままでしょう。
目標を設定し、下位組織に落とし込む際には、最終的には多数欠ではなく全会一致が必要です。そのために議論を重ねた際に、最終決定する直前に全員に確認をとります。全体ではなく全員にです。
皆に広く「Buy-inしますか?」でなく、全員一人一人に全員がいる場で個別に確認をとります。何度か繰り返して、最終全員が賛同(Buy-in)までいくのに、それなりの時間がかかります。内容によって、また組織文化や力関係等によって、それぞれ費やす時間はマチマチですが、それでも最低でも数時間、丸1日かかることもあるでしょう。
目指すべき「共感」レベル
「共感」を促すために、コンテンツの内容はどうあるべきか、どういった言い方をするべきかといったアイデアは無数にあると思います。しかし、ここではより根本的な原則レベルで「共感」を捉えておきたいと思います。それは、より一般的な日本語的な表現として「腹落ちした」感覚に近いかもしれません。そのレベル感まででないと、どれだけ説得されても、納得されても一時的には受け入れるかもしれませんが、「違和感」がつきまとう事になります。
まとめ
戦略実行現場で、「行動を変容し、継続性を徹底する」ためには、この共感といったレベル感が特に私たち日本の組織には求められているのかもしれません。そして、このレベルまで到達できた「目標の落とし込み」の状態を想像してみてください。それはそれまでとは全く違ったパラダイム/思考/行動変容を促し、まさに一人一人が激流の中で、オールを手にしてリーダーシップを発揮できるようになるのです。
フランクリン・コヴィーでは、この変化の激しい現在において、どのように戦略を考え、メンバー全員が成果に向けて実行する必要があるのか、一緒に考える無料セッションをご用意しています。
組織のリーダーにとって学びの多い機会となると思いますので、皆様のご参加をお待ちしています。